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個展開催予定
2016年5月26日~6月9日 画廊岳 東京都国立市
フランス美術誌アーティスツマガジン春期号特集「近藤幸夫・日本画の技法と美意識について」見開き2ページ掲載(2015年3.4月号)
戦後美術総集Ⅲ(麗人社:2015年3月刊行)「野生の輝き」掲載
蔵織日本画塾 新潟市
●日本画制作実習講座 毎月第1,第3日曜日(変更あり) 午後6時30分から2、3時間
参加者主体の日本画塾です。初めて日本画を描く人、経験のある人、専門分野の方、
それぞれが自由な題材で日本画を描きます。制作方法、伝統技法などを解説します。
いつでも入塾が可能です。100年ほど前に建てられた風情在る木造家屋の和室を使
い、落ち着いた雰囲気で塾生がマイペースでのびのびと制作しています。
画廊「蔵織」のオーナーで画塾を主宰する志賀恒夫氏の厚意により、時間の許す限り
制作できるリラックスした画塾です。
●マスタークラス「日本画へようこそ、知られざる日本画の魅力」
国内外を問わず何処へでも出向き、マスタークラスを行ないます。
日本語・英語・ロシア語の資料を用意します。
・制作実習 [日本画の基本講座 ]
岩絵の具の原石や日本画の画材を直に触れてもらい、日本画について解説します。
参加者が日本画を実際に描いて体験します。
・比較考察Ⅰ[ 加山又造と横山操 日本画への情熱と憂い]
・比較考察Ⅱ[横山大観 速水御舟 画家が目指したもの]
・比較考察Ⅲ [ 村上華岳 画論]
尚、比較考察Ⅰ~Ⅲは作品と資料をもとに参加者が話し合う対話型講座
問い合わせ先:ギャラリー蔵織
〒951-8062 新潟市中央区西堀前通1番町700番地
TEL・FAX 025-211-8080
E-mail craole@robinhouse.co.jp
美術全集「日本の美Ⅴ富士山」(美術年鑑社から2013年10月刊行)に「富士桜」掲載
個展開催予定:画廊 岳
2014年5月7日から16日
問い合わせ先:画廊 岳
〒186-0002 東京都国立市東1-14-17
TEL 042-576-9909 FAX 042-572-2598
テーマ:失われていく人間の尊厳と自然への畏敬
2011年3月11日、地震と津波は大勢の生命を奪い、街を破壊しました。
その光景はアジアから中近東を旅した日々の記憶と重なり、
人間と自然との関わりを改めて考える機会になりました。
学生時代に訪れた中東の街は繰り返された紛争により瓦礫に埋もれ、
アジアの地域においても差別や貧困に苦しむ人々の暮らしがありました。
そして現在も尚、この地に生きる人々の苦難は変わっていません。
自然破壊と温暖化による危機が世界全体に迫っていても、
人間の対立と争いが続く背景に、人と自然への無関心と無理解があります。
失われていく人間の尊厳と自然への畏敬を描くことが私の制作のテーマです。
日本画概説
日本画は世界で唯一、国の名前がつけられている絵画です。画材、技法、テーマ、設えなど、千数百年の歴史を経て日本の風土に培われてきた日本画は、他に類のない存在です。しかし、
現代の社会では伝統芸術への関心が希薄になり、日本画にふれる機会はほとんどありません。
伝統美術日本画の世界、その魅力と課題を記します。
1.日本画とは何か
明治15年(1882年)、日本において日本画の概念を創めて解説したアメリカ合衆国の哲学者で東洋美術の研究者であったアーネスト・フェノロサは講演の中で、 「絵画には妙想が重要であり、妙想とはプラトンの説く理想である。絵画は写生を目的とせず、その理想を生命とする。」と語りました。 さらに、彼は自著の「美術真説」から妙想について引用し、写実にこだわり過ぎる西洋画に比べて本質的な世界を追求する日本画に、 より妙想が存在していると述べています。 日本画の独特な画材と美意識そして妙想により、日本画はその独自性を成すと考えます。
2.日本画の歴史
日本画という言葉は130年程前の明治時代に、西洋画に対し日本特有の絵画の存在を国内外に示すために作られました。
しかし、7世紀に築造された古墳遺跡には既に様式化された壁画が存在しました。
描かれていた壁画の絵は当時のアジア大陸の国々の影響を受けたものでしたが、
やがて日本的な芸術文化が形成されていきます。
絵巻物、襖屏風に描かれた障塀画、水墨画の掛軸など、多様な絵画は伝統文化と調和し、
日本独特の美意識が生まれました。明治時代、伝統的表現を受け継いできた諸流派と新たな表現を模索する画家たちは、
理想を見失ったかのように次第に権威的な画壇を形成していきます。
第2次世界大戦では戦意高揚のための戦争画や兵器を寄贈するための展覧会が開かれ、日本の社会は本来の芸術の目的を見失いました。 戦後も芸術への価値観は変貌し、日本の伝統文化の衰退を憂いた画家たちは日本画の新たな可能性を追求しました。 それは西洋画と同化することではなく、格式や権威に囚われることでもありませんでした。 歴史を返り見ればどの時代にも、ひた向きに制作に打ち込む画家の姿がありました。 彼らが志したものは、かつてフェノロサが日本美術に見出した真理を探究する芸術性の進化であったと考えます。
3.日本画の画材
□ 絵具
群青石と呼ばれる藍銅鉱やラピスラジュリー、珊瑚など、日本画の絵具は石や貝などの自然の素材から作られています。 岩絵具は一種類の石から16段階の大きさの粒子に分けた粉末で、色の違いだけでなく、 光の透過屈折や反射、成分の化学的な変化を応用して描きます。
□ 和紙
日本画を描く和紙は樹皮を摩りつぶして漉き、長い繊維が絡むため、切れにくく衝撃にも強い特徴があります。 水分による伸縮にも強く、気候の変化に順応する高い耐久性があります。
□ 膠(にかわ)
膠は兎、猪、鹿などの動物や魚類の皮下質から精製されたコラーゲンで、絵具と和紙の接着や変色を抑えるために使われます。 気温や湿度の変化が著しい日本の気候に和紙とともに順応し、数百年間も絵具の定着を維持します。
□ 画筆
描き方や作業により形や素材、大きさの異なる画筆を使います。 それぞれの筆に材質の特性が生かされていて、百種類以上に及びます。 柄と筆毛の接合部分は水による膨張や木の反発力を利用し、筆毛を抜け難くする構造になっています。 画筆は大切に扱うことで使う人の寿命より長く生き続けると伝えられています。
4.日本画の美意識
□ 余白の美、空間の美
画面の一部を描かずに、見る側の想像に委ねる。 画面の外に存在を感じる構図や構成も余白の美に通じ、空間の美とも言われます。 小説やエッセイの文章の行間を読む考え方と似ています。
□ 移ろいの美、未完の美
日本画には一つの画面上に物語や四季、太陽と月を描く、時を包容する表現様式があります。 また、死の間際まで描かれていた作品を「絶筆」と呼び、時の余白の美として、生命の余韻と完成への過程を辿ります。 過ぎゆく時間、歳月にも美しさは存在すると考える理念です。
□ 不如意の美
自然の作用により生まれる形や風合いの美しさ。人間の意思の及ばない厳しい自然に育まれた 感性がその美しさを見出すのかも知れません。 「不如意の美」は昭和天皇の侍従長で随筆家であった入江相政の著書の題名から引用しました。 たとえ思うように行かない仕事や人生であっても、ひた向きに生きる姿からはしみ出るような美しさがあると著書は伝えています。
文中の人物の敬称を省略させて頂きました。
略歴
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1953年新潟市に生まれる
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1975年中近東・西南アジア方面 研究取材旅行
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1977年多摩美術大学 絵画科日本画専攻 卒業
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1978年西南アジア・インド方面 研究取材旅行
第1回東京セントラル美術館日本画大賞展 出品 -
1979年多摩美術大学大学院 修了
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1980年渡米、ニューヨーク大学 留学
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1983年帰国、加山又造身延山久遠寺天井画「墨龍」制作助手として参加
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1986年第5回東京セントラル美術館日本画大賞展 出品
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1988年個展開催 東京銀座洋協アートホール、新潟大和
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1989年北海道写生取材開始
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1990年小野寺茂・近藤幸夫二人展 東京セントラル絵画館
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1994年個展開催 新潟大和 野生動物シリーズ発表
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1995年個展開催 東京セントラル絵画館
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2001年個展開催 国立コートギャラリー
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2009年エコ・スマイルアート展 春・秋期展 出品 東京芸術会館
全集「日本の美Ⅲ 日本の四季 秋冬」美術年鑑社発行作品掲載 -
2010年画集・日本の現代作家100「瞳の奥深く」・「自然の響き」芸術出版社
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2011年韓日友好美術展出品 在韓国ソウル日本大使館
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2011年~2012年写生取材エッセイ「氷雪の記憶」新潟日報新聞連載
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2012年蔵織日本画塾 伝統技法の解説と実技指導 ギャラリー蔵織
個展「自然への畏敬」開催 画廊岳&ギャラリーコロン 国立市
「荘厳なる自然、日本とロシアの国境を越えて」展 開催
スモーリヌイ・サボール ロシア共和国サンクトペテルブルク市
ロシア・ファンダメンタルスタディ国際大学、オックスフォード教育ネットワーク(英国)、
カリフォルニア大学(米国)、共通哲学名誉博士号を授与
2012年ロシア 「荘厳なる自然」展覧会レポート -
2013年美術全集「日本の美Ⅴ富士山」 美術年鑑社発行 作品「富士桜」掲載
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2014年雪舟国際美術協会日本画選抜特別展 出品 東京都美術館
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2014年個展「自然への畏敬Ⅱ」開催 画廊岳&ギャラリーコロン 東京都国立市
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2014年「ZooArt国際動物美術展」招待出品 ロシア国立サンクトペテルブルク市彫刻美術館
個展「自然の響き」開催 ボーリン・アートギャラリー ロシア連邦 サンクトペテルブルク市
日本画マスタークラス開催
ロシア国立サンクトペテルブルク市彫刻美術館
ロシア国立芸術アカデミー付属イオガンソン記念芸術学校
ロシア国立サンクトペテルブルク芸術産業大学
ボーリン・アートギャラリー ロシア連邦 サンクトペテルブルク市
2014年ロシア「ZooArt国際動物美術展」・「自然の響きー近藤幸夫日本画展」レポート -
2015年美術全集「戦後日本美術総集Ⅲ」 麗人社発行 作品「野生の輝き」掲載
フランス美術誌アーティスツマガジン特集「近藤幸夫・日本画の技法と美意識について」掲載
メディア
新聞 コラム連載「氷雪の記憶」
新潟日報に連載されたエッセイです。24年間続けてきた厳冬期の北海道取材で感じた自然と人間の関係、自身の制作への思いを12回にわたって綴りました。
(2011年11月 11日から2012年2月17日まで)
日本画家を志した経緯。加山又造との出会いと横山操の最期。
流氷が繋ぐ友情と小林広幸船長の生い立ち。
流氷に覆われた知床半島を踏破した川端隆氏の回想。
野生動物が姿を見せない理由は地球温暖化か環境破壊の影響か。
温暖化で冬山のリスクが高まる。遭難事故から学び得たこと。
自然から学び、自然に救われる。クラウス・クラインの挑戦
村上華岳「画論」が伝えるもの。
シマフクロウを描く。雪のシベリアを思う。
地の果て知床の魅力。豊で厳しい自然。
ワシを描く。野生のルール、自然の摂理を知る。
環境保護への理解と芸術を育む自然を伝えるために。
大地震の後に思う、人間の尊厳と自然への畏敬。
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